LPA・IPAとは?eSIMプロファイルを扱う端末側エージェント(LPAd/LPAe/IPAd/IPAe)を解説

こんにちは、コモン・クリエーションでIoT・SIMエンジニアリングサービスの事業責任者をしている山本です。本記事では、eUICCの手元でプロファイルを扱うエージェントであるLPAとIPAを、「on eUICC」と「on Device」の違いも含めて整理します。
はじめに
eSIMの発行管理は、クラウド側と端末側の2層で成り立っています。クラウド側ではSM-DP+が事業者の依頼を受けてプロファイルを準備し、暗号化した状態で払い出します。しかし、SM-DP+が用意したプロファイルを受け取ってeUICCにインストールし、有効・無効を切り替える「端末側の担い手」がなければ、eSIMは機能しません。
この担い手が、コンシューマではLPA、IoTではIPAです。両者は「eUICCの手元でプロファイルを扱うエージェント」という点で共通しますが、想定するデバイスが異なるため、機能の構成も動作の起点も変わります。
LPA(Local Profile Assistant)
LPAは、コンシューマeSIM(SGP.21/22)で定義された、ユーザー操作を受け付けてプロファイルを扱うローカルな仕組みです。中身は次の3つの機能から成ります。
機能 | 名称 | 役割 |
|---|---|---|
LPD | Local Profile Download | SM-DP+からBPPをダウンロードしeUICCに伝送する |
LDS | Local Discovery Service | SM-DSに問い合わせ、自分宛のイベント(プロファイル)を探す |
LUI | Local User Interface | ユーザーに選択・確認させるUIを提供する |
スマートフォンで「アクティベーションコードのQRを読み込んでeSIMを追加」という操作は、主にLUIがユーザーの確認を受け付け、LPDがSM-DP+からプロファイルを取得してeUICCへ書き込む、というLPAの動きそのものです。動作の起点がユーザーの手元操作にある、いわゆるプル型である点が特徴です。
on Device(LPAd)と on eUICC(LPAe)
LPAを考える上で重要なのが、LPAをどこに置くかという視点です。仕様上、LPAは端末側にもeUICC内にも置けます。
設置場所 | 呼び方 | 特徴 |
|---|---|---|
端末側 | LPAd(LPA in the Device) | OS・アプリ側にLPAを実装。スマホなど多くの端末がこちら |
eUICC内 | LPAe(LPA in the eUICC) | eUICCチップ内にLPAを実装。端末側の実装負担を軽減できる |
個々の部品も、設置場所に応じてLPDd/LPDe、LDSd/LDSe、LUId/LUIeのように末尾にd/eが付いて区別されます。現状、スマートフォンやタブレットの多くは、OS側にLPAを実装するLPAdを採用しています。
IPA(IoT Profile Assistant)
IoTモデル(SGP.31/32)では、LPAに相当するエージェントとしてIPA(IoT Profile Assistant)が定義されています。
決定的に違うのは、IPAにはユーザー向けのUIが前提とされていない点です。IoT機器は画面も人の操作も期待できないため、LUIに相当する機能を持ちません。そのかわり、有効化や無効化の指示はクラウド側のeIM(eSIM IoT Remote Manager)が遠隔から出し、IPAはその指示をeUICCに伝える代理・中継役として働きます。動作の起点がユーザー操作ではなくeIMからの遠隔指示にある点が、LPAとの本質的な違いです。
IPAの主な機能は、プロファイルダウンロードの代理、Discovery(SM-DS問い合わせ)、Notification処理、そしてeIMからのPSMO(プロファイル状態管理操作)やeCO(eIM設定操作)の中継です。
IPAd と IPAe
IPAもLPAと同じく、設置場所でd/eに分かれます。
設置場所 | 呼び方 | 特徴 |
|---|---|---|
IoT機器側 | IPAd(IPA in the IoT Device) | 機器のソフトウェアとしてIPAを実装。eUICCへのアクセス実装が必要 |
eUICC内 | IPAe(IPA in the eUICC) | IPAをeUICC側に持つ。機器ベンダーの実装ハードルを下げられる |
IPAdは、機器のファームウェアでeUICCへアクセスする実装が必要になり、IoTベンダーにとってはハードルが高めです。そこで、IPAをeUICC側に載せるIPAeを使うと、機器側の実装を大幅に簡素化できます。既存の機器設計を大きく変えずにSGP.32対応を狙う場合は、IPAeが有力な選択肢になります。ただしIPAeの実装は任意であり、その中身はeUICCメーカー(EUM)に依存するため、採用時は対応するeUICCの確認が前提になります。
LPAとIPAの関係を一枚で
観点 | LPA(コンシューマ) | IPA(IoT) |
|---|---|---|
規格 | SGP.21/22 | SGP.31/32 |
トリガ | ユーザー操作(プル型) | eIMからの遠隔指示 |
UI | LUIを含む | UIは前提としない |
設置場所 | LPAd/LPAe | IPAd/IPAe |
まとめ
LPA・IPAはどちらも、eUICCの手元でプロファイルを扱うエージェント。
LPAはLPD・LDS・LUIの3機能からなり、ユーザー操作を前提とする。
IPAはUIを持たず、eIMの遠隔指示(PSMO/eCO)で動く。IoT向けのLPAと考えればわかりやすい。
どちらも、端末側に置く(d)かeUICC内に置く(e)かで実装負担が変わり、IoTでは機器側の負担を抑えられるIPAeが選ばれやすい。
参考規格
GSMA SGP.21 / SGP.22「RSP Architecture / Technical Specification(Consumer)」
GSMA SGP.31 / SGP.32「eSIM IoT Architecture and Requirements / Technical Specification」
おわりに
弊社では「LibeSIM」として、SM-DP+ や MVNO 回線、eIM(eSIM IoT Remote Manager)、eUICC、IPA/LPA のご提供を行っております。ご興味がございましたら、デモや PoC 等行っておりますので、ぜひお問い合わせください。

山本 真基
コモン・クリエーション株式会社
執行役員 LibeSIM事業責任者
当社にて、eSIM Tech Partner「LibeSIM」の立ち上げ・事業推進を主導。SM-DP+・eIM・MVNOをワンストップで提供し、eSIMの運用に必要なすべてをオープンに選択できる環境の実現を目指す。国内唯一のeIMプロバイダーとして、SGP.32時代のIoT接続管理の最前線に立つ。
