Med-Well

2026/05/01 01:00

電子カルテ情報共有サービスのIF定義書を読んでみる — 診療情報提供書はどんな形?【電子カルテ情報共有サービスとMed-Well 第3回目】

電子カルテ情報共有サービスのIF定義書を読んでみる — 診療情報提供書はどんな形?【電子カルテ情報共有サービスとMed-Well 第3回目】

はじめに

こんにちは!総合病院向けのLINE窓口システム「Med-Well(メドウェル)」を提供するコモン・クリエーションです。

本記事は「電子カルテ情報共有サービスとMed-Well」シリーズの第3回目です。

シリーズ「電子カルテ情報共有サービスとMed-Well」

  • 「電子カルテ情報共有サービス」って何だろう?

  • 電子カルテ情報共有サービスには、どうやって繋ぐ? — 3つの接続方式を調べてみた

  • 電子カルテ情報共有サービスのIF定義書を読んでみる — 診療情報提供書はどんな形? ◀ 今見ている記事

  • FHIRで紹介状を書くと、こうなる — 診療情報提供書を分解してみた

  • 電子カルテ情報共有サービスに繋ぐまでの道のり — ベンダー登録と接続テストの話

前回までのおさらい

第1回では「電子カルテ情報共有サービス」の全体像と、医療DX令和ビジョン2030の中での位置づけを整理しました。第2回では、そのサービスに「どうやって繋ぐか」として、ファイル連携方式とWeb API通信方式の2つの接続方式を見てきました。

ここまでで、「何を」「どう繋ぐか」の大枠が見えてきたと思います。

今回からは、少し技術寄りの話に入ります。実際にやり取りされる「ファイルの中身」を確認していきましょう。題材として取り上げるのは、医療連携で最も基本的な文書である診療情報提供書です。

外部インターフェース仕様書とは

電子カルテ情報共有サービスに情報を送ったり受け取ったりする際には、決められたファイル形式と項目の定義に従う必要があります。それを規定しているのが「外部インターフェース仕様書」です。

データ構造の外観

送信データはXML形式で記述されます。やりとりしたい処理ごとに、XMLの形式が仕様書として定義されています。

後述する通り、電子カルテ情報共有サービスにおけるデータ構造は多段構造になっています。

  • 外側のXMLが「封筒」にあたり、ヘッダ情報(送信元のシステム情報や患者の資格情報など)を含みます

  • 中のFHIR JSONが「手紙」にあたり、診療情報提供書の本文データそのものです

  • 添付ファイルがある場合は「同封書類」として、Base64エンコードされた形で格納されます

イメージとしては、「封筒(XML)」の中に「手紙(FHIR文書)」と「同封書類(Base64添付)」が入っている、という構造です。

各種仕様書とデータ構造の関係

電子カルテ情報共有サービスにまつわるドキュメントは、種類が非常に多いです。仕様書を読む際には、全体の構造を把握しながら必要なドキュメントを参照していくことが重要です。

ここでは、実装に取り組む際のドキュメント参照の流れを整理してみます。

① システムフローを把握する

まずは、電子カルテ情報共有サービスを利用するうえでのシステム全体のフローを押さえます。

参照ドキュメント: 電子カルテ情報共有サービスの導入に関するシステムベンダ向け技術解説書

電子カルテ情報共有サービスの導入に関するシステムベンダ向け技術解説書 図16.文書情報の登録フロー(一例)

この図は文書情報の登録フローの一例です。電子カルテシステムから連携ソフトを経由して、電子カルテ情報共有サービスへデータが送信されるまでの全体像がわかります。

② インターフェース一覧を把握する

次に、電子カルテ情報共有サービスと情報をやり取りするためのインターフェース一覧を確認します。利用したいインターフェースの名称やIDを特定するのがこのステップの目的です。

参照ドキュメント: 外部インターフェース仕様書

たとえば「診療情報提供書を登録したい」場合は、ここで該当するインターフェース(CIS-IF-101 文書情報登録要求)を見つけます。

③ XMLレイアウトを確認する

利用したいインターフェースが特定できたら、そのXMLの構造を把握します。

参照ドキュメント: XMLレイアウト

XMLレイアウトを見ることで、どの項目が必須で、どんなデータ型が求められるかがわかります。

④ 記録条件仕様書でデータ記述ルールを把握する

3文書6情報および患者サマリーのデータ記述にあたって、まずは詳細データの記述が必要かどうかを確認します。

参照ドキュメント: 電子カルテ情報共有サービス記録条件仕様書

詳細データの記述が必要な場合は、記述方法を確認します。

⑤ FHIRの定義書に沿って実データを記述する

最後に、FHIR構文に沿って3文書6情報および患者サマリーのデータを実際に記述します。各FHIR形式のJSONファイルは「医療機関等ベンダ向け接続テストで利用するデータサンプル」にまとまっています。詳細はFHIRの定義書を参照してください。

電子カルテ情報共有サービス2文書5情報+患者サマリー FHIR実装ガイド JP-CLINS(CLinical Information Sharing ImplementationGuide) 

外部インターフェースのXMLファイルを読み解いてみる

では、実際のXMLファイルの構造を、診療情報提供書の登録(CIS-IF-101 文書情報登録要求)を例に見てみましょう。

外観

CIS-IF-101 文書情報登録要求の主なフィールド

MessageHeader.MedicalInstitutionSystemInfo

医療機関等のシステム情報を格納する領域です。送信元の医療機関を識別するための情報がここに入ります。

MessageBody.MedicalReferralDocument

記録条件仕様XMLをBase64エンコードした文字列です。ここに診療情報提供書の実データが格納されます。つまり、XML(封筒)の中にさらにBase64エンコードされた記録条件仕様XML(中封筒)が入っており、その中にFHIR JSON(手紙本文)が入る、という入れ子構造になっています。

MessageBody.BrowsingConsent

紹介先の医療機関で文書情報を取得・閲覧するための同意取得の有無を示すフィールドです。値は以下の通りです。

  • 0:閲覧同意なし

  • 1:閲覧同意あり(紹介元)

MessageBody.QualificationInfo

患者の資格情報(保険者番号など)を格納するフィールドです。

記録条件仕様XMLの主なフィールド

Document.FHIRDocument

FHIR JSON形式で記載した診療情報提供書を、Base64エンコードした文字列です。ここが紹介状の「本文」にあたる部分で、次回の記事で詳しく分解していきます。

紹介先医療機関の情報について

ひとつ注意しておきたいのが、紹介先医療機関の情報の扱いです。

紹介先の情報は「CIS-IF-101 文書情報登録要求」のXML自体には記載されません。紹介先医療機関の情報は、診療情報(HL7 FHIR)の中に記載されます。

また、実装上の重要なポイントとして、以下の点に注意が必要です。

  • 紹介先医療機関の番号は、電子カルテ情報共有サービス向け医療機関等マスタに登録されている有効なコードを指定する必要があります

  • 医療機関名称もマスタに登録されている名称を正確に記述する必要があります

  • マスタの登録情報と、紹介先医療機関の番号・名称が一致しない場合、送信エラーになります

つまり、紹介先の情報はFHIRデータの中で、マスタと完全に一致する形で記述する必要がある、ということです。このあたりは実装時に気をつけたいポイントです。

添付ファイルの扱い

CT/MRIなどの画像データや、PDF文書などの添付ファイルは、診療情報提供書本体とは別に扱われます。

添付ファイルの登録には、専用のインターフェースである添付情報登録要求(CIS-IF-115)を使用します。つまり、診療情報提供書の送信と添付ファイルの送信は、別々のリクエストとして処理する必要があるということです。

添付情報登録要求では、添付データ(PDFや画像など)をBase64エンコードした文字列として送信します。文書情報登録要求と同様に、XMLの中に必要なヘッダ情報と添付データ本体を格納する構造です。詳細は「外部インターフェイス仕様書(オン資格、電子処方箋、電カル情報共有)_Ver8.10」をご参照ください。

Med-Wellとしての関わり

Med-Wellは、診療予約や患者コミュニケーション、地域医療連携の入り口を担うクラウドサービスです。

今回見てきたように、外部インターフェース仕様書に沿った実装は、XML・FHIR・Base64エンコードといった多層のデータ構造を正しく扱う必要があります。一見複雑に見えますが、構造を「封筒と手紙」というイメージで捉えれば、全体の見通しは立てやすくなります。

Med-Wellとしては、この仕様への対応を通じて、診療情報提供書のデジタル連携をスムーズにし、紹介・逆紹介の業務効率化に貢献していきたいと考えています。

結び

今回は、電子カルテ情報共有サービスの外部インターフェース仕様書を読み解きながら、診療情報提供書がどのようなデータ構造で送受信されるのかを整理しました。

ポイントをまとめると、次の通りです。

  • 送信データはXML形式で、中にFHIR JSONがBase64エンコードされて格納される「多段構成」

  • 仕様書は複数あり、システムフロー → IF一覧 → XMLレイアウト → 記録条件仕様 → FHIR定義書、の順に参照するとスムーズ

  • 紹介先医療機関の情報はXMLではなくFHIRデータ側に記載され、マスタとの完全一致が求められる

  • 添付ファイルは本体とは別のインターフェース(CIS-IF-115)で送信する

次回は、FHIR JSONの中身をさらに深掘りし、「診療情報提供書をFHIRで書くとどうなるか」を具体的に見ていきます。

Med-Wellは、LINEを活用した予約や呼び出し、患者コミュニケーションの仕組みを提供しています。電子カルテに依存しない形で現場の課題を解決しつつ、今後の情報連携にも対応していきます。

ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。


本記事の参照元について

本記事は、以下の公開資料をもとに作成しています。

上記のうち、技術解説書は厚生労働省ホームページにて一般公開されています。外部インターフェース仕様書等の関連資料は、医療機関等ONSに登録したベンダーであればどなたでも閲覧可能な情報です。各資料の詳細については、上記の公開元をご参照ください。

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